ゆうとぴあんず8,小説,SF,作品,老人
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不定期連載小説
「ゆうとぴあんず」
−8.ゆうとぴあんず−
「おい。どういう事だ。俺のことを知っているのか?」持田は小声で桜井に聞いた。
「まあな。今から説明があるよ。とりあえずそこの席について」
桜井に勧められるまま持田は席についた。
「持田さん」
議長が言う。
「私は現人類ゆうとぴあんずの白上と申します。職業は学者と言ったところです。
初めて来たので当惑していると思いますが押田さんにはまず我々の組織についての話を聞いて頂きたい」
「現人類?ゆうとぴあんず?それは一体何なんですか」
持田は聞き慣れない言葉に問い返した。
「ゆうとぴあんずとは選ばれし人類の事だ。」横に座っている桜井が答える。
続けて白上と名乗る老人が言った。
「現在生きている人々はすべて前の世代の人々を通して存在しています。
言い換えれば子孫を残すことのできた人たちの末裔とも言えますね。
しかし全部の人間が子孫を残す事は現実ありえません。
これは自然の摂理とも言えます。
植物は多くの種子をばらまいても実際に子孫を残すのはその一部に過ぎないでしょう?
ではそれを選別するのは一体誰だと思いますか?」
「いきなり難しいことを聞かれても分かりませんが、それはG市の事件と関係があるのですか?」
持田の質問に白上は笑みを浮かべて答えた。
「そう。昔神は背徳の町の人々を滅ぼしたと言いますが、同じようにできる者達がいるとしたらどうですか」
「ではその、ゆうとぴあんずとかいう人たちがG市の人たちを裁いたとでも言うのですか!」
持田は少し声を大きくした。
「裁くなどと言うことはありませんよ。
先ほども言いましたように自然の選択と同じですよ。先人類のゆうとぴあんずに選択された人たちが滅び又生き残るのです。」
「話がよく分かりませんが、先人類と言うのはつまり・・」
「つまり前の世代の人類だ」
持田が興奮してきたのを咎めるためか桜井が口を挟んだ。
「桜井。お前もそんなことを信じているのか?いや、お前も共犯者なのか?」
「人聞きの悪いことを言うな。俺は自然の摂理に従っているだけだ。初めからこうなっているのだ」
「そんな事信じられるか」
騙されて連れてこられたのだと思った持田は桜井をにらみつけた。
9に続く
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