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(「たんぽぽ荘」二五へ)
不定期連載小説

「たんぽぽ荘」



−27.文化祭−

いよいよ文化祭がやってきた。  
僕たち漫研に割り当てられた教室の真ん中には「ザブングル」用の14型テレビが設置され、壁にはみんなが描いたポスターと、市販のアニメポスターが張りつけられている。
入り口脇には同人誌と受け付けが設けられている。  
どれだけの人が来てくれるだろうか?  
初めての経験に僕は不安と期待で一杯になった。
外では空手部や野球部がやっている屋台から威勢のいい呼びこみの声が聞こえる。  
9時前になると廊下に少しずつ人影が見えるようになってきた。

「そろそろはじめるか」

田城さんの合図で「ザブングル」の上映が始まった。
少し音を控えてはいるがこれは効果があった。
廊下を歩く人たちがアニメの音を聞いて入ってきてくれたからだ。
当時この地方ではこのアニメは放送していなかったので珍しかったのだろう。
少しずつ観客も増えてきた。  

「こんにちは」

上映の邪魔にならないように小さな声であいさつする。
イスに座ってじっと観ていてくれる親子連れ。飽きたのかしばらくして出ていく高校生・・
入れ替わりはするものの平均すると十人程のお客さんが黙って観てくれていた。
もちろん僕もアニメに見入っていた。
が、しばらくして気がついたのは、より一生懸命観ているのは漫研の面々だけだと言うことだ。
一般のお客さんは黙々とモニターを見つめるおたくたちに囲まれて居心地が悪いのか少しすると出て言ってしまう。
僕たちにとっては最高の催しなのだが一般の人たちにとってはただの上映会なのだろう。
これでは自分たちのためだけの催しになってしまっている。

   「村止さんはこういったのが嫌なんだな・・」

 
意識の違いにとまどいながら僕は後ろに座っている村止さんを見て驚いた。
一番食い入るようにしていたのは村止さんと萱島さんだったからだ。
なんだか分からなくなって僕は席を立った。 「おい、どこへいく」
田城さんが呼び止めたがトイレですと言って外に出た。
僕は少し他のクラブの催しを見て歩くことにした。
校舎から出るとにぎやかなお店が並んでいる。

「おう、食っていかんか?」

空手部の店には藤多さんがいた。
空手着にはちまき姿だ。
勧められるままにたこ焼きを買った。
本当はもっと見て回りたかったのだが、田城さんに怒られそうなのでたこ焼きをあわてて食べて漫研の教室に戻った。

 −28.とまどい−

二日目は日曜日なのでお客さんが増えた。
同人誌も少しは売れた。  
展示されているイラストにも目を留めてくれる人もいくらかいたので僕は少しほっとした。
やっぱり一般の人にもきれいに仕上げられた田城さんの作品は人気がある。  
足を止めるのは決まって田城作品の前だ。
出し物がポスターとビデオと同人誌の販売しかないのでほかにすることもなく大半の部員は「ザブングル」を観る。
最初は新鮮だったアニメも2回目になると飽きてくる。しかも前日にはほぼ一日見ている。みんな疲れきっていた。

「・・・」  

お客さんが来てくれてもあまりうれしくないので知らん顔だ。  
親子連れがやってきて、  

「あっ、まずいところに来ちゃったな」
とかいう感じで申し訳程度にイラストを観ては出ていく。
二日目はこんな感じで過ぎてしまった。  
やがて文化祭も終わり、夕方には片付けに入った。
僕は自分の描いたイラストを手にたんぽぽ荘に帰ると、残っていた菓子パンを食べながらねそべった。

「大学の文化祭って凄いなあ・・」

四畳半の部屋の天井を見ながら一人つぶやく。  
それぞれのクラブが出店を出したり作品を展示したり、素人ながらも協力して何かをやったことに感動したのだ。
「別に今のままの漫研でいいんじゃないのか?」
そんな疑問が浮かんでは消える。  
そのうち漫研を見放して創作同人誌のクラブを立ち上げようという村止さんの企画に乗ったことが無茶なことのように思えてくる。
「いいのかなあ・・」
この晩は楽しくやっている漫研のみんなをがっかりさせるようなことをあえてしていいものか思い悩んでよく眠れなかった。


(「たんぽぽ荘」二九へ)


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