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(「たんぽぽ荘」二七へ)
不定期連載小説

「たんぽぽ荘」



−29.顧問決定−

「顧問が決まったぞ」
文化祭から二週間後、村止さんが電話の向こうで嬉しそうに言った。
創作同人誌研究会の顧問を引き受けてくれる先生が決まったのだ。
 この後文化部の会合で承認を得ることができれば同好会としてスタートすることができる。

 「えっ、そうなんですか」

僕は複雑だった。
 文化部の会合には当然漫研の部長と副部長が出席する。
 と言っても現在村止さんが漫研の部長だから会合には次期部長と副部長が出席することになるだろう。
 この会合を期に村止さん一派の計画が明るみに出る事になる。
 「来週挨拶に行くからな。お前も一緒に来るんだぞ」

「で、どなたなんですか?」

返す言葉もないのでとりあえず聞いてみた。 「須賀先生だよ。商経学科の」
「ああ」知っている。
 経済学を受け持っている先生だ。
いつも”カルビーポテトチップスの原理”を提唱している。
”カルビーポテトチップスの原理”というのは当時テレビでやっていた、
 
 「ポテトチップスは100円で買えるけれどポテトチップスで100円は買えない」
 
 というCMなのだが、これが買った瞬間から減価消却が始まっているという経済の原理をよく表しているというので、この先生は授業でしきりと取り上げていた。

「あれ、わたしの提案なんですよ」
といつも付け加えていたのでカルビーか広告代理店に顔のきく先生だったのかもしれない。
強力な顧問がついてしまった。
 これで部活の承認が決定したようなものだ。
僕は電話口で不安を隠せなかった。

 「いい先生だぞー」

僕の緊張を悟ったのか村止さんが電話口でなぐさめてくれた。

当然のことだがこれ以降の漫研の会合は気まずい思いで出席することになった。
 まだ顧問が決まっただけで学校側に提出する企画書なども作っていなかったのでみんなには知られていないはずなのだが、とても後ろめたいのだ。

 「今度はアニメ作ろう」

黒川さんが言った。
実は僕は高校時代に8ミリフィルム映画でアニメを作ったことがあってその作品を少し前にみんなに見せたのだ。
これが呼び水となったようだ。

「いいなあ」

田城さんが賛同する。
 みんなも同じ意見でたちまち話が決まった。
僕も賛同した。

 「いいですねえ」

新しいクラブを作ろうとしていたとはいえ、オリジナルの作品を作るのなら賛成だ。
「8ミリカメラはお前のを借りられるな」 当然の成り行きだが黒川さんが僕に言った。
「オーケーです」

何となく村止さんの視線がつらいが成り行き上断れない。
この後はみんなの役割分担が決められて企画はあっという間に形をなしていった。
 

 −30.8ミリカメラ−

「おまえ、何で受けたんだ?」

帰り道、追いかけてきた村止さんにとがめられた。
「8ミリカメラのことだよ」
 リアクションできないでいる僕に追い打ちをかける。
 「すいません。断れなくて・・」

 「貸すなよ」
・・と言われても今更断りにくい。
「はい・・」
どうしようもないが生返事だけはしておいた。
 この日は村止さんの下宿に行ったが、なんとも気まずい気持ちで漫画だけ読ませてもらって帰った。
 


新しいクラブを立ち上げるという話が知られるようになってきたのはこの年の12月に入ってのことだ。
企画書の中では”従来の漫研ではなく完全創作の作品に打ち込みたい”と言うことを打ち出した。

 このころには村止さんは漫研を退部していて、部長には黒川さん、副部長には僕と同級生の弘瀬くんがなっていた。

 僕はまだ漫研にいて会合にも出席していた。
 例の8ミリカメラの関係で必要とされていたからだ。
 おかげでいごこちが良いのか悪いのか分からない状態が続いていた。
 カメラの提供だけで企画や作画にはノータッチ、会合にも出席する以上の事は求められていない。

 漫研のみなさんも会合では何となくよそよそしいし、村止さんには会うたびに早く退部届けを出すように言われる。
そのうちカメラだけ貸して会合にはあまり行かなくなった。

 こうなるといよいよ漫研とは疎遠になる。

 村止さんにはカメラを貸すなと再度言われていて、折を見て返してもらうように勧められていた。

創作同人誌研究会の立ち上げ準備で毎週村止さんにくっついて動いているとだんだんカメラが人質に取られているような気もしてきた。  

「ちょっと必要になったので・・」

結局作画で撮影が滞った時期を見計らってカメラを返してもらった。

「又貸してくれなきゃ困るぞ」
「はい」

嫌み混じりの言葉を受けながらカメラを手にした。

三一に続く


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