ゆうとぴあんず6,小説,SF,作品,消える,桜井
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不定期連載小説

「ゆうとぴあんず」



−6.G市−

その時持田の目がテレビに釘付けになった。
テレビではG市の人間が全員突然消えてしまった言っていた。
G市には原発があるので大きな騒動になっている。
現時点で原発は完全に停止しており、原因も全く不明であるということが繰り返し報道されていた。
「ちょっとごめん」
礼子に告げて持田は食堂を出て携帯電話を取り出した。この前の着信履歴から登録しておいた桜井の番号に電話をかける。
「もしもし」
予期していたのか桜井はすぐに電話に出た。 「おう。桜井か。今いいか?」
「ああ。いいよ」
「G市の事件ってこの前お前の言っていたあれと関係があるのか?」
「さあね。知りたいかい?」
「じらすなよ。分かった。今度集まりに行ってみるから教えてくれ」
この時持田は解答を何年も前から待たされていたような気がしてどうしても知りたいという心境になっていた。
「やっとその気になってくれたんだな。
じゃあ今晩どうだ。この前のM駅で」
「分かった。この前と同じ時間にあの喫茶店で待ち合わせだ。G市とあれは関係があるんだな」
桜井から今すぐ答えを聞きたいが昼休みがもう余りない。念だけ押した。
「関係は大ありだ。ふふふ・・・」
桜井が嬉しそうに笑う。
「お前、嬉しそうだけど大変な事なんだぞ。」
桜井にしてみればやっと誘いに応じたので嬉しい事だろうが持田にはそれが不謹慎な行為に思えて叱りつけたい気持ちになった。
店に戻ると礼子が不思議な顔をしている。
「いやちょっと急に用事を思い出して・・」
持田はこれ以上突拍子もない桜井の話をする気も起こらずに言った。


7に続く

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