ゆうとぴあんず6,小説,SF,作品,消える,桜井
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不定期連載小説

「ゆうとぴあんず」



−7.再び桜井−

退社後、持田はいつものように電車に揺られる。ニュースによれば例の事件の真相解明については特に進展もない。
持田について言えば桜井の件で午後は仕事が手につかなかった。
本当かどうかは分からないが自分がより事件の近くにいるようで落ち着かなかったのだ。

「桜井が犯罪に関与していなければいいんだが・・」

こういった懸念も持田の足を急がせた。
M駅に着く。駅前には例の喫茶店。狭い入り口を入ると例のマスターとウェイトレスが無愛想にいらっしゃいと言った。

「よう」

桜井は既に来ていてこの前と同じテーブルについていた。

「待たせたな」

時間にはまだ早かったが持田は言った。少し気分が悪い。

「早速だが教えてくれ。どういう関係があるんだ?」
「ああ。あれだったな」

持田は桜井が時々こういった問題をはぐらかすような言い方をするのが嫌いだった。

「もったいぶるなよ」少し声が大きくなる。 この前と同じくマスターとウェイトレスが冷たい視線を向ける。
「ここではなんだ。早速来てくれ」

桜井はコーヒーを飲み干すと勘定を済ませ持田を外に連れ出した。

「実はこのM市には俺がお前を誘っていた団体の本拠地があるんだ」

桜井は閑散とした夜の街を歩く。
後を行く持田は少し驚いた。 

「団体?なんの?」
「そう。俺はお前をその団体と引き合わせたかったんだ」
「うさんくさいな。俺に入信しろとでもいうのか?」
「安心しろ。そんなものじゃない」

いつになく桜井の背に自信が満ちているのを感じる。持田は乗りかかった船だと思い黙ってついて行くことにした。 
十五分ほど歩くと3階建ての古びたビルにたどり着いた。2階には明かりが灯いている。
桜井は慣れた様子で建物に入り突き当たりのエレベーターに向かう。
二人で乗り込むと桜井はB2のボタンを押した。

「ここには地下2階まであるのか?」

押田は憮然として尋ねる。

「古い外観はカムフラージュだ」

桜井はいつものようには笑ってはいない。
扉が開くと白くてきれいな廊下が見える。 汚いビルの地下には似つかわしくない。

「おい桜井。お前一体どういう団体に入っているんだ」

廊下を歩きながら押田は問うが桜井は答えない。そして突き当たりの扉を開く。
中には二十名程の男女がテーブルを囲んでいた。集会と言うよりは会議のような格好だ。
扉の開く音がみんなの注意をこちらに向けた。桜井が言う。

「押田君が来ました」
「おお。良く来てくれました」

議長らしき老人がにこやかに言った。


8に続く

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