たんぽぽ,大学,生活,学生,朝ご飯,辛子明太子,食堂
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不定期連載小説
「たんぽぽ荘」一、二へ

「たんぽぽ荘」



-3.顔合わせ-

新館に行くには一旦通路を外に出なければならない。
L字形の縦の部分が旧館で、その建物に沿って下に向かう。
 旧館と大家さんの家の間の通路を奥に入っていく感じだ。
 突き当たりに新館の入り口がある。
 大家さんの家と旧館に挟まれて通路は暗い。
通路に入った所には二階への階段がある。
 僕達は黙って二階に上がった。
集まりのある十八号室は二階に上がって廊下の突き当たりにある。
 L字になった建物の曲がり角部分に当たる。
 二階に上がると十八号室の扉が開いていて、6畳間一杯の人が見えた。
 ちょっと全員は無理か。そう思っていると、 「詰めて詰めて」と声がした。
 おかげで僕たちは部屋に入れた。
 入りたくはなかったが。
 部屋にはいると寮生全員が集まっていた。 自己紹介の結果分かったのだが、一番奥に腕組みして正座して座っている人が四年生で寮長の棚井さん。
 横にいるのが同じく四年生の蔭山さんと藤井さん。  後三年生が三人、二年生が三人、僕ら一年生が十人。
この六畳間は三年生の赤峯さんの部屋だ。
 「これで全員揃ったな」
棚井さんが言う。
 「じゃあ始めるか。一年生は正座して」
蔭山さんが言う。続いて棚井さん。
 「これからこのメンバーで生活する事になるので、今日はこの寮の事について知っておいて欲しいと思って集まってもらった。  私が寮長の棚井だ。よろしく」
やはり四年生。威厳がある。
 この当時三つも歳が違うと何だかずいぶん大人に見えた。
 それから順次自己紹介が始まり、僕の番になった。
 僕は出身県と名前を述べる。
 「クラブは漫研に入りたいと思ってます」 かねてからの願望を述べた。
 おおっ、と反応したのが三年生の赤峯さん。
 「俺漫研だ。よろしく」
赤峯さんは漫研で渉外をしていた。
 コミケなんかやるときに会場を手配したり宣伝する係だ。
後にこの漫研は分裂するのだが、この時はただ嬉しいだけだった。
 ともあれ、この集まりでは寮の門限や、夜の十時以降には風呂のボイラーを炊かないこと、先輩にはどこで会ってもきちんと挨拶する事などが申し渡された。
それと、来週には新入生歓迎コンパをこの部屋でやると言う事だった。
『コンパ!』田舎から出てきた純粋無垢の若者にとって、耳新しいこの言葉はとても新鮮だった。
 と同時に何だか先輩達が新入生をぐでんぐでんに酔わせて喜ぶ姿が目に浮かんでもう吐きそうな気分になった。
 もちろんこれはテレビや漫画の影響である。 でも実際もあまり変わらなかった。
 これまでアルコール類を全く飲んだ事の無かった僕は先輩に勧められるままビールを二杯三杯〜麦焼酎を二杯、三杯〜
 先輩が次々にやって来て酒をついでくれるのだからたまらない。
 最後ににウイスキーをついでくれたときに吐き気をもよおした。
真っ青になって赤峯さんの部屋の流しにもたれかかって吐くか耐えるかを悩みながらとりあえずグラスの中身を流した。
 なんせ初めてのアルコールでこの後どうなるか分からない。
 しばらくじっとしていると赤峯さんが気づいてくれた。
 「おいおい、おまえ大丈夫か」
 青い顔で何とか答える。
 「だ、大丈夫れす..」
この後体中に赤い斑点が出て、アレルギー体質であることが分かった。
 浅本は笑い上戸で、酔っぱらうとけたけた笑いながら出ていってしまった。
 話が飛んでしまった。
 最初の集まりはなんと言うこともなく終わったが、慣れない正座をさせられていたので しばらく立ち上がれなかった。

-4.食堂-

 次の日の朝、突然大滝英一の大きな歌声で目覚める。
 隣の井植くんが目覚ましにラジカセを鳴らしたのだ。
 曲は2曲ほど流れてぱちんと止められる。
 これ以降部屋を変わる迄の一年間、毎日同じ曲で同じパターンの目覚めだった。
 そして外で挨拶の声が響く。
 「おはようございます!失礼します!」 
 寮のしきたりで先輩に会えば挨拶、去るときは失礼しますの挨拶。
 だから単にすれ違うときには両方を言うことになる。
みんな最初は先輩が怖いから、やたら元気がいい。
 でも慣れてないからぎごちない。
 ピコピコ頭を下げながら結構滑稽だ。
 この寮は朝と夕食付きだから朝ご飯を食べるのに食堂に行く。
 食堂は大家さんの家の一角にあり、旧館の通路を出てすぐ食堂という感じになる。
 広さは8畳間くらいか。入り口から入ると、頭上には14インチの汚れたテレビ、向かいには四人がけの椅子とテーブル。
 その横には木のテーブルがあり、大きなジャーがふたつ。ご飯とみそ汁が入っている。
 左手には更に四人がけのテーブルと椅子がそれぞれふたつあり、その奥にはカウンターがあってお姉さんが片付けをしていた。
先輩がいたら早速挨拶。
 初日には三年生の田仲さんと霧人さんがいた。
 気を遣いながらご飯をよそう。
 すかさずお姉さんが言う。
 「ご飯は二杯まで。大盛りなら一杯までね」 「はい...」
当時は食欲があったから結構つらい。
 そして茶碗が小さかった。
 それならと思ってみそ汁の入ったジャーを開けると、これも二杯までという指示。
朝食と夕食で880円だからまあ仕方がないか。
 納得し、なるべく先輩とは遠い席に着く。
 後で書くが、この食費はこの寮にとって大きな問題になる。
 ともあれ食事だ。
 テーブルには生卵と味付けのりの入った小鉢と辛子明太子一切れの乗った小皿が人数分置いてある。
 僕はこのとき初めて辛子明太子を食べた。
 突然食堂の戸が開く。
 「おはようございます!」
井植君だ。やはり元気がいい。
 うひゃうひゃしながらご飯をよそう井植君。 先輩に近い方の席に座った。
いきなり食堂の戸が開く。
 「...」
角刈りのホームベース型の顔をした男が黙って入ってくる。
 ご飯を大盛りよそい僕の横のテーブルにつく。
寡黙なこの男は僕と同じ一年の竜田だ。
 黙ってテレビを見ながら食べ終えると、戸をばんと締めて出ていってしまった。
 彼の大胆な態度にみんな唖然としていた。
「何だあいつ..」
田仲さんが一言いった。
「そうですよねえ」
 しらけた場を取り繕うように井植君が明るく同調する。
「たんぽぽ荘」五、六へ

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